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第1190回例会が開催されました

第1190回例会(2018年2月5日)は諏訪湖畔病院 放射線科CT室 三石浩司様をお迎えして「大腸CT始めました」のテーマで卓話をいただきました。

大腸CTの背景

◎欧米で普及が進む大腸3D-CT検査

 現在,日本の大腸癌罹患数は増加しており、日本の大腸癌死亡数は大腸癌先進国といわれる米国と人口比で比較すると米国の倍近く多く、日本のほうが今や大腸癌先進国と呼ばれるにふさわしい。にもかかわらず大腸癌検診の受診率は20%程度、精検受診率は50%台と低く、これまでの精密検査(大腸内視鏡検査、注腸X線検査)に代わりとなるような、受診率向上を促す検査法が求められている。  

※米国では大腸3D-CT検査(CTコロノグラフィ)の有効性を示すことに成功し、大腸3D-CT検査による大腸癌スクリーニングが確実に普及し始めている。

大腸癌は早期に発見し治療すればほぼ治癒が可能。最新データ(2011)では、男性は4位、女性は2位、男女を合わせると癌の中で胃癌に次いで2番目に多い。部位別死亡数を最新データ(2014)で見ると女性では1位、男性は3位、男女合計では4万8485人が亡くなっている。大腸癌には、特に癌が発生しやすい場所があり、最も発生しやすいのが直腸(約40%)次にS状結腸(約28%)上行結腸(約11%)横行結腸(約8%)下行結腸(約5%)盲腸・虫垂(約5%)肛門(約3%)の頻度になる。

◎大腸CT 検査の長所・短所

長所:検査時間が短い(撮影のみなら10分程度)。検査時の苦痛が少ない。大腸のひだの裏側まで観察できる。ポリープなどの大きさ、深さなどの計測が可能。大腸狭窄の場合も検査可能。3次元的に隅々まで検査可能。大腸以外の腹部全般まで情報が得られる。検査による副作用、合併症がほとんど無い。

短所:対外からの撮影のため対象物の硬さ、色などがわからない。X線被爆があるため妊娠中は受けれない。異常があった場合組織採取などができないため、別途カメラ検査が必要。平坦な病変やポリープが5mm以下の場合はカメラより劣る。

◎大腸CT 検査の実際(当日の検査)

①検査前日および当日に薬(下剤・造影剤・検査食)を飲んで腸の中をきれいにする。

②検査着に着替え、検査室(CT室)に入り、検査台に横になる。

③消化器内科医師が、直腸診を実施し、異常がなければ、細いチューブを10cm程度肛門より挿入し、炭酸ガスを注入、大腸を膨らませる。(炭酸ガスは空気に比べ130倍の速さで吸収されるため検査中は持続的にガスを注入する)腹満のみで強い痛みはない。

④CT装置で撮影する。仰臥位・腹臥位でそれぞれ10秒間撮影を行う。残液や残便が多い場合には、側臥位を追加して撮影する場合もある。

⑤チューブを抜き、検査終了。

⑥撮影した画像を基にワークステーションなどにて仮想大腸内視鏡像・注腸類似像などを作成し、診断する。

おわりに・・・                    

組織検査や治療ができないCTCは内視鏡検査にとって代われる検査ではない。また、前処置の標準化、表面平坦型腫瘍の検出能の向上、デジタル技術やCADの改良、Ⅹ線による被ばく低減など解決すべき課題は少なからず残っている。しかしながら、CTCは苦痛が少なく低侵襲性であり、標準化しやすく精度も高い。さらに、他臓器のスクリーニングも可能であるなど、現状の大腸癌検診における諸問題点を大幅に改善しうる検査方法である。内視鏡検査とともに今後、広く普及し、大腸癌検診において非常に重要な役割を担うことが期待される。

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